国立劇場おきなわ新年1月企画公演:新作組踊「サシバの契り」

kariyushi-village

2012年01月13日 22:01

新年1月12日(木)に国立劇場おきなわ平成24年1月企画公演において,新作組踊「サシバの契り」が演じられた.

立ち方ウミワカ(元海賊),カナスミガ(サシバの精),マサムイ(島の若者のリーダー),島人(x3),海賊(x3),各々が素晴らしい演技を見せた.特に,カナスミの演技は組踊的な唱え・舞は完璧なほどであり,その美しさはまさに妖精のようであった.

この歌舞劇「サシバの契り」を,組踊に再構成するには,多くの様々な要素が含まれ過ぎていて,もう組踊にすることは諦めて,組踊的な歌舞劇の1つに留まるのが良いと考える.

場面・背景・照明の浜辺と月夜は具体的,幻想的そのもので,その中で,全てを表現し,観る者は映画を観ているように,眼の前のそのままの現象を眺めているだけで良い.

時々唱えられる沖縄芝居の台詞,島人と海賊との戦い,激しい太鼓・銅鑼の響き,カナスミガの海賊に討たれる場面,花道,バックに流れる島人たちの声,ウミワカとカナスミガの触れ合うシーン,などで,系統的に抽象性を排し,組踊からは遠く離れていく演出にしている.

また組踊としては,特に必要とは思えないが,女性地謡一名が加わって,要となる二揚げ節のソロを担当していた.いつもの地謡グループだけでも同じ効果が得られたであろう.因みに,この女性地謡は声・歌が男声的で,全体を通して,場面の高揚を更に増幅させるに相応しい落ち着いた歌・三線で,見事でとても組踊的でもあった.ただ比較的短い節の息継ぎで歌い,また高音部にもう少し力強い声が欲しいところではあった.

新作劇「サシバの契り」は,歌舞劇としては成功裏にデビューしたと言える.


作:大城 立裕
演出:玉城 盛義
音楽:花城 英樹
振付:阿嘉 修


配役

ウミワカ:川満 香多
カナスミガ:佐辺 良和
マサムイ:天願 雄一
島人:呉屋 智,岸本 隼人,玉城 匠
海賊:池間 隼人,上江洲 勝,仲宗根 弘将


歌・三線:花城 英樹,玉城 和樹,横目 大通,島袋 奈美
筝:池間 北斗
笛:豊里 美保
胡弓:森田 夏子
太鼓:與儀 朋恵


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